『来見沢善彦の愚行』は、ジャンル分けが難しいほど“新しさ”が際立つタイプの漫画。
文字が読めず、自分の才能にも気づいていない天才漫画家の卵。その原稿を騙して盗み続けるのは、落ち目の元売れっ子作家。この構図だけでも十分に惹かれるのに、物語の進め方が異常にリアルで面白い。

特に原稿を盗み続ける隠蔽工作の描写が現実味たっぷりで、「こうすればバレないかもしれない…」というイヤな説得力がある。
土台はリアリティ重視なのに、そこにサスペンスの気配と“いつ大どんでん返しが来てもおかしくない不穏さ”が混じり合っていて、ジャンル不明の面白さを作っている。

更新されるたびに先が読めない緊張感が押し寄せるタイプで、個人的にも続きがかなり楽しみな作品。
人に勧めたくなる新感覚の一作。